大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

岡山地方裁判所 昭和39年(わ)131号・昭39年(わ)476号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕兇器準備結集(二の(二)の(1)の公訴事実)

前掲証拠から昭和三八年八月初頃小野組と吉岡組との抗争が続いていたこと、小野組事務所には常に数名ないし十数名の組員が蝟集していたこと又夜警などの必要のため拳銃、猟銃などが事務所に存したこと、八月六日午前一一時頃バーレインボー付近に小野組組員が銃砲刀剣類を携行して参集し、又同組員のうち数名が谷本定信方付近に拳銃等を所持して赴いた事実は認められる。

しかし小野組事務所において当時組員が交代で夜警をしていたのは被告人も知つてはいたが、この発案実行は丸山がしたものであり、被告人が指示命令したと認める確証はない、のみならず小野組事務所において組員の数名が銃砲等を所持して蝟集していた事実はあつてもそれは北山一派や吉岡組員の不意の攻撃に備えて警戒のためであつて、あらかじめ計画された喧嘩斗争を実行するために集合していたものでもなく、また集合させたものでないからこの段階では刑法二〇八条の二の規定する共同して他人の生命身体に害を加える目的があつたとは認められない。

次に八月六日午前一一時ごろレインボー付近に小野組員が拳銃、猟銃等を持つて赴いたのは同日午前一〇時半頃熊岡豊弘が北山等がレインボー付近にいるのを見かけ、小野組事務所に連絡したことから事務所にいた小野組組員がレインボーに向い、青野城也、玉本健二らは外出中連絡を受けてレインボーに向つたこと、そして同所付近で北山等に遭遇しなかつたところから更に谷本定信方に赴き、再びレインボー付近に引返したところ北山之らに遭遇し拳銃、猟銃で撃ち合う斗争となつたいわゆるレインボー事件が発生したことが認められる、しかしレインボー付近、谷本定信方付近に小野組組員が赴いたのは被告人の指示によるものであると認めるに足る直接証拠は何等なく、レインボー事件に至つた原因は前記の小野組と吉岡組との対立にあつたこと及び被告人は小野組組長であるという間接事実は認められるものの、レインボー事件は熊岡の連絡により突発的に起つたものであること、谷本方に赴いたのもレインボー付近に北山らがいないことから急拠捜しに出かけたこと、被告人がレインボー前のバー「ふじむら」の炊事婦入江富美恵に電話をかけ組員の三宅正敏に電話した時はすでにレインボー事件が発生している最中であつて、電話が終つたときは既にレインボー前での撃ち合いが終つた後であること<証拠略>などの事情を綜合すれば被告人が直接もしくは丸山等を介して結集させたとまで認めることにはなお疑いがあり、結局被告人の結集行為についてはなお証明不十分である。(西尾政義 岡次郎 佐々木一彦)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!